ウッドショックの解説と低圧メラミン化粧ボードへの影響について

2022年1月21日時点の記事になります。
2021年初めごろから住宅、家具、木材業界の中で「ウッドショック」と呼ばれる現象が騒がれ始めました。
弊社では低圧メラミン化粧ボードを製造、加工、販売していますが、ウッドショックの影響はどれほどあるのでしょうか。
今回はウッドショックの簡単な解説と、低圧メラミン化粧ボードへの影響について探っていきたいと思います。
目次
- ・ウッドショックとは
- ・ウッドショックの主な要因
- ・「ウッドショック」から「合板ショック」へ
- ・原油価格高騰も
- ・高圧メラミン化粧板、低圧メラミン化粧ボードとの関連性
- ・最後に
ウッドショックとは

▲木材関連の輸入価格は2021年以降大幅に上昇した。(経済産業省より引用)
まずは「ウッドショック」とは何なのか?についてご説明します。
ウッドショックとは端的に言うと「輸入木材の価格高騰」のことです。
なぜ輸入木材の価格が上昇して混乱が起きたのかといいますと、
日本は木材の自給率が高くないからです。
日本の自給率は4割弱程度となっており、6割強を輸入材に頼っています。
ウッドショックにより輸入材が調達しにくくなったことで、木材を扱う業界は深刻な影響を受けているのです。
ここで、ウッドショックの発端となった要因をいくつか見ていきましょう。
ウッドショックの主な要因
ウッドショックの背景には以下の4つの複合的要因が考えられます。
- ①コロナ禍におけるアメリカの住宅ニーズ増加
- ②中国国内の需要増加
- ③コンテナ不足
- ④欧州の害虫被害
①コロナ禍におけるアメリカの住宅ニーズ増加

2020年、コロナウイルスが世界的に蔓延し、あらゆる業界にダメージを与えていきました。
アメリカでもロックダウンがおこなわれ、経済は一時停滞しましたが、同年5月にロックダウンが解除、リモートワークや巣ごもり需要が増え、住宅建築需要が増加しました。
その要因として、①膨大な財政出動 ②低金利政策が挙げられます。
上記から、リモートワークで自宅にこもるようになった人々が新たに住宅を購入、リフォームする流れが大きくなったのです。
②中国国内の需要増加

中国も同様にコロナから回復した後、住宅需要が活発になりました。
中国は木材の多くを輸入に頼っているため、EU諸国をはじめとした輸入量が増加しました。
③コンテナ不足

①、②のような急な需要の増加で海上コンテナの奪い合いが勃発しました。
その上、コロナ禍による人員不足の影響もあり、物流は停滞してしまっています。
現在は世界規模でコンテナ不足が起こっており、こうした影響はウッドショックだけでなく、私たちの生活にも及んでいます。
最近では某ファーストフードのポテトが輸入できず供給不足に陥っていました。
④欧州の害虫被害

近年、欧州では地球温暖化による暖冬の影響で害虫被害に悩まされています。
欧州のような寒い地域では森林に被害を与えるキクイムシといった害虫は越冬が出来ず、問題になることもありませんでした。
それが温暖化により越冬、繁殖まで可能になったことで害虫被害が増加。
木材供給の不足につながる原因のひとつとなったと言われています。
上記の理由の他に、ロシアの原木輸出規制といった政治的要因も、コロナ禍で重なり合い、ウッドショックは木材市場に混乱を与えています。
「ウッドショック」から「合板ショック」へ
ここまではあくまで、「原木・製材」の話です。
ですが最近、DIYなどでも使われる身近な素材「合板」の価格も高騰しています。
これは「合板ショック」と呼ばれています。
世界的な木材需要の高まりは供給不足を引き起こし、木材の価格を高騰させました。
日本では、合板の原料となる木材の輸入量も減少し、連鎖的に価格が高騰してしまったのです。
しかし、合板ショックの原因は、木材の不足によるものだけではありません。
合板をつくるために必要な接着材などの高騰も関係しています。
なぜ接着剤の価格が上がったのでしょうか?
原油価格高騰やエネルギー不足

接着剤の高騰の背景には原油由来の素材の価格高騰が関係しています。
コロナ禍からの経済回復で石油需要が持ち直した一方、OPECプラス※が、原油供給を大幅には増やさない方針を続けていたため、原油需給がひっ迫する危険性がありました。
※OPECプラス…OPEC(石油輸出国機構)にロシアなど非OPEC産油国を加えた組織。原油の価格安定をめざし2016年に結成。
また、欧州は石油と代替性がある天然ガスの価格高騰から、原油需要をさらに押し上げ、中国では「脱炭素」の動きを強化した結果、石炭不足・電力不足に陥りました。
世界的なエネルギーコストの上昇に化学品相場は混乱。
接着剤の原料をつくる中国の工場は、電力不足から操業制限を余儀なくされ、メタノール、酢酸、アンモニアなどの原材料価格が急騰しました。
そうした影響から、日本では住宅メーカーをはじめ、不動産、家具メーカーが大きな打撃を受けています。
低圧メラミン化粧ボードへの影響

ここまではウッドショックや合板ショック、原油価格の高騰について解説しました。
ここからはウッドショックが低圧メラミン化粧ボードに影響を与えているのかどうか見ていきましょう。
低圧メラミン化粧ボードに使われているパーティクルボードも木材チップを原料としているため、ウッドショックの影響を受けています。
加えて、原油価格の高騰や、ウッドショックの原因にもなったコロナ禍のコンテナ不足、輸送遅延などによって、以下のような影響があります。
①メラミン樹脂の値上がり
高圧メラミン化粧板や低圧メラミン化粧ボードに使われているメラミン樹脂は原油由来の素材です。
2021年末から、原材料費の高騰が続いています。
②接着剤の値上がり
合板ショックの原因の一つとなった接着剤の値上げは、低圧メラミン化粧ボードの基材であるパーティクルボード(PB)にも波及しています。
パーティクルボードをつくる際に接着剤が使われているため、低圧メラミン化粧ボードの原材料価格に影響しています。
また、高圧メラミン化粧板の場合、基材の木質ボードの貼り合わせに接着剤が使われており、コストアップしています。
③低圧メラミン化粧ボードの輸入減少
低圧メラミン化粧ボードの国内メーカーは弊社を含めて2社と少なく、その多くを輸入に頼っています。
コンテナ不足の今、いざというときに調達が難しくなるという危険性が潜んでいるのです。
最後に

今後の見通しはいまだ不透明ではありますが、2022年後半に収束する兆しがあるといわれています。
そして国内でも、2022年以降は新設住宅着工件数の増加が見込まれると思われます。
ますますの需要増加が想定されるなか、世界的なコンテナ不足による納期遅延や、船運費の高騰等の影響は解消の見通しは立っていません。
先述したように、弊社の低圧メラミン化粧ボードも全く影響を受けていないわけではありませんが、国内で数少ない低圧メラミン化粧ボード製造メーカーとして、設備の拡充等を進めています。
最大限の努力を続けてまいりますので、低圧メラミン化粧ボードの使用をご検討の方やご興味のある方は是非一度お問い合わせください。
弊社では、低圧メラミン化粧ボード「メラスパン」「メラフィット」の製造から加工を一貫して行っています。
メラスパンは、使いやすい色柄を選定し、単色・木目柄併せて常時20種類以上取り揃え小ロット受注にも対応しています。
メラスパンのサンプルは実際に手に取っていただくことも可能です。
サンプルをお送りしておりますので気になった方はこちらからお申し込みください。
その他、お問い合せはこちらからどうぞ
参考文献
出典:林野庁ウェブサイト
(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r1hakusyo_h/all/chap3_1_1.html)
出典:経済産業省ウェブサイト
(https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20211022hitokoto.html)
出典:Bloomberg
(https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-24/R1I77ODWRGG001)
